家に着きロンドンブーツを脱いだ僕はつま先の解放された気持ちよさと引き換えに背丈の優越感を失った、腹いせに油性のマジックで描いた星のマークはブーツの甲の部分に今でもかすかに残っている
第1章はこちら↓
‘70年代の新宿の記憶と今!ヒッピーがホームレスに!西口公園が超高層ビル群に
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夜の新宿の西口公園で見上げた星々を見ることがなかったら僕はブーツに緑と紫の油性マジックなんかで左右のブーツの星印何かを描くことはなかったはずだ
ロンドンブーツを脱いだ僕はミシンに向かいはきこんだ2本のGパンをばらしてロンドンブーツかットのお手製のつぎはぎジーンズの仕上げにかかった
僕が生まれて死ぬまでの人生は
僕がこのつぎはぎデニムのロンドンブーツカットのGパンを仕上げることと
対して変わらないことだ
100年生きる歳月は3時間ミシンに向かって作業することとたいして変わらない
宇宙の壮大な時間の流れからすれば
それと同じように新宿の西口の超高層ビルから見降ろした地上の人々や車の流れはホコリよりもはかなく流される
西口公園から見上げた星空の大きさと比べればすぐわかることである
そんな一瞬に消えてなくなる人生は
やるべきことをやることで終わってしまうにはあまりにもむなしいではないか
やりたいことをやる人生を過ごさなければ絶対に後悔してしまう
そんなことを頭に描きながら僕はミシンを動かしていた
そして西口公園で宇宙を見上げていた
1970年代の新宿の空気は僕を宇宙に運んでくれた
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ローリングストーンにて
暗がりの室内では不自由なレイバンのティアドロップをかけた僕は
地下一階への階段を踏み外さないように下ってゆく
扉を開けるとそこはハードなサウンドが鳴り響く異世界の空間である
僕と加賀のマーボーの二人は開いている席に腰掛けて
周りを見回すと学生らしさの微塵もない
ヒッピー風の長髪のお兄さんたちと
連れのロングスカートに素足を巻かれたお姉さんたちが
目をつぶり大音量の爆音に浸っている
ほとんどがそんないでたちなのだが
済にその場に似合わない格好をした男性が一人で
ぽつんと座っているのが見えた
三つ揃いのダークスーツのいで立ちなのだが
目はしっかりと前を見据え
耳は大音量のサウンドを見逃さずに
自分の世界に浸っている
まるで「いちご白書をもういち度」を字でいっているような、、、、
そんな姿の人もたまに来る
そんな時代だった
オーナーは長髪で背の高いいかついお兄さんで
忙しそうに客の注文した飲みものやつまみをテーブルに運んでいる
僕はハイライトをテーブルに置き
注文を聞きに来たオーナーに耳元で大声でビールを注文する
つまみはレーズンバターかチーズサラミ
隣に座った加賀のマーボーも同じモノを頼んでいる
出入り口の右側にはたたみ2畳ほどのDJボックスがあり
水割りをあおりながら客のリクエストに対応しているDJがいる
このころのDJはまさにレコードを回すだけ
今のように手では回さない
あくまでプレーヤーにレコードをセットして
針を落とすだけである
客のリクエストに答えること
それに自らの選曲針を落とす
その際ラジオDJの小林 克也ばりのしゃべりをする
そんなDJもいた
自らの選曲でそのDJの音楽の好みがわかるので
リクエストする客側はDJの趣味を把握する必要がある
そうでないと永遠にリクエストに答えてはくれないであろう
だから運が悪く僕と趣味が違うDJの場合は
リクエスト用紙に書きこまず
ひたすら聞くことしゃべることに専念するのだ
僕は大概
ストーンズやレッドツェッペリン、ディープパープル
例外でイーグルス
まあこんな所である
選ばれる可能性が高いから、、、、、、
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新宿西口公園
本当の僕は
レッドツェッペリンも好き
ローリングストーンズも好き
ディープパープルも好き
イーグルスも好き
でも一番好きなのは抒情詩的なプログレだ
もちろんビートルズも好きだけど、、、、、
いいかげん腰を下ろすのがあきた僕は
新宿駅方面に向かう
JRの時間がまだ全然間に合う時には西口まで足を延ばす
1974年4月4日に新宿三角ビル開業
正式名は新宿住友ビル
新宿西口の超高層ビル群第一号
この後続々と超高層ビルが立ち並ぶことになるのだが、、、
そのころはまだ広々とした新宿の西口だった
僕はロンドンブーツを引きずるようにして西口まで足を運ぶ
ストーンズでの余韻を胸に
愛と自由を確認するためにここまで歩いて来たのだ
そして暗闇の空を見る
ただ見るのではない
空の奥底にある何かを見つける旅が始まる瞬間であるから
間違いなく言えることは
僕は今でも愛と自由のために生きている
これは誰かの影響を受けたものではなく
物心ついた時にはすでにそう思っていた
だから僕は荒井由実の自由に共感して
だから僕はムーディーブルースの愛に共感できたのだ
だから僕はヒッピーにあこがれた
これが僕の三種の神器だから
ミッシェルポルなレフがコンピューターの中から生まれたように
僕は藍と自由の中から生まれてきた
第三章へ続く、、、、、、
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